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認定スクラムプロダクトオーナー研修を受けて気づいた大切なこと

0.冒頭

この記事は富士通クラウドテクノロジーズ Advent Calendar 2017の14日目です。

昨日13日目は @tunakyonn の「Unity WebGLをmBaaSで使ってみた」でした。

 

1.はじめに

 今回の記事は開発や運用に関する内容とは異なり、企画者からの記事をお届けします。開発者にとっては、企画者の視点や工夫点を知る機会に、企画者にはご自身の活動の参考になる点があれば幸いです。

 私はサービスの企画を担当しているのですが、開発チームがスクラムを取り入れたことをきっかけにスクラム開発におけるプロダクトオーナーとしての役割を担いました。

 しかし、プロダクトオーナーの手法を勉強して実行しようとしても、なかなか思ったように役割を果たすことができませんでした。そこで、認定スクラムプロダクトオーナーの研修を受けてきました。

 そこでは今まで勉強した机上の知識とは異なり、プロダクトオーナーとしてどのように考え、振舞うべきかを身を持って体験し、トレーニングすることができました。

 今回はその内容をお伝えします。(すべての内容を網羅しておりませんがご容赦ください。)

 

2.研修概要

 認定スクラムプロダクトオーナー研修とは

  • Scrum Aliance認定の資格
  • 10月25日~27日の3日間
  • トレーナーは認定スクラムトレーナーである江端一将さん
  • 参加者は30名程度
  • IT業界の方が多い印象
  • 東京で開催
  • 認定審査は研修中の能力アピールによって、認定されるか判断が下る
    (無事に認定を受けることができました)

3.研修スタイルと経験できたこと

 研修のアジェンダはなく、参加者同士のディスカッション形式が中心でした。全体の8割以上は参加者が考えたり、議論する研修です。一部はトレーナーがプロダクトオーナーとしての知識やマインドに関して話す時間もあります。

 また、研修受講中は常にプロダクトオーナーとしての考え方や振る舞いを求められます。そのため、プロダクトオーナーの考え方として合っていなければ、すぐに指摘されます。この指摘がとても有意義で、まさしく「トレーニング」でした。

 自分自身の発言であっても、他の参加者の発言であっても、「何がプロダクトオーナーとしてあるべき考え方、振る舞いなのか」を考える経験ができました。講義形式やワーク形式の研修に慣れていたため、1日目はしんどくて、「これはエライ研修に来てしまったな。。。」という印象を受けましたが、1日目の夜に「なぜこういった形式を取っているのか?」という意味を考えたときに「重要なのは手法ではなく、マインドを鍛えること」と気づきました。そのため2日目以降は、しんどいながらも楽しむことができました。

 ディスカッション内容は「意思決定の方法」や「ROIについて」、「トレーナーに聞きたいこと」などでした。これがなかなかまとまりません。決め方は論理的に説明できる状態にしなくてはいけないため、日本人にありがちな「阿吽の呼吸」は通用しません。

4.プロダクトオーナーにとって大切なこと

  • プロダクトオーナーの最大のミッションは「ROI(return on investment:投資対利益率)の最大化」
  • プロダクトオーナーは投資(investment)をコントロールすること(≒無駄な投資を防ぐこと)
  • 問題解決(how)ではなく、問題発見(what)をすること
    マーケットの課題は何か?に集中すること。またペルソナ分析、ユーザインタビュー、カスタマージャーニーの作成などは問題発見のための手段であること
  • 情報収集のため常に走ること(自席に座っている時間はPOは本来の仕事ができていないと思え)
  • 短期、中期、長期のどの視点も考慮に入れた意思決定をすること
  • 意思決定のプロセスを明らかにして、無駄な投資を防ぐこと
  • チームには「やって欲しいこと」よりも「やって欲しくないこと」を決めることが大事(目安は1:2)
  • 陥りがちなアンチパターン
    →積み上げ型になってしまいゴールを見失うこと。ゴールを決めて逆算した方が人は論理的に行動できる。   
    →Returnを最大化しようとすること。最大化すべきはROIであり、コントロールできるのはInvestmentである。
    →意思決定プロセスの中で核となる内容を変えようとしてしまうこと。変えるべきは核の周辺である。
    →意思決定プロセスの中でトータルのバランスを崩してしまうこと。全体のバランスは考慮して、投資を変える

.今後どのように活かすか

  • 常にROIを意識したアクションを起こすこと。機能、施策、タスクのどのレベルにおいてもROIの観点で取り組む
  • ステークホルダーの意思決定プロセスを書き出して、マーケットの課題に集中すること
  • 短期、中期、長期のどの視点も考慮に入れた意思決定をすること(トレーニングが必要ではある)

.個人的な所感

  • 手段や方法じゃくて、マインドセットが重要ということを学んだ。また、マインドセットは本を読んだら習得できるのではなく、脳みそのトレーニングが必要だと認識した。口では重要といっても、本質的に行動が変わるのは簡単じゃないことが身をもって理解できた。
  • プロダクトオーナーとしての考え方や振る舞いを学んだが、ビジネスマンとして必要なマインドも学べたのではないかと思った。
  • 1日目の時点でプロダクトオーナーの思考がまったくできておらず、「これは3日間かけても認定されないかもな」とまで思いました。ですが、不思議とモチベーションが上がって、「如何にトレーニングされて力をつけるか」に集中できた。(トレーナーの腕が良かったのではないか)